(この投稿は2020年4月2日にu-siteに投稿した「海外とのかけはし」と同じ内容です。)
新型コロナウイルスが未だアメリカ全土に勢いをもって広がっています。2020年4月1日午後3時(太平洋時間)現在、カリフォルニア州での感染者は9,551人、死者は206人。同日午後12時現在でのロスアンゼルス郡公衆衛生局の公式発表によると、ロサンゼルスでの感染者は3,518人、死者は65人となっており、その数は日々驚きの勢いで増加しています。
筆者個人も有難い事に日本の友人からから安否確認のメッセージをいくつか頂いていますが、みなさん口を揃えて言うのが、「NYは大変って聞くけどロサンゼルスは大丈夫なの?」という声。「外出“禁止”という強い命令が出ているNY程ではないけど、もう3週間前からロサンゼルス郡の市長から“自宅待機”命令のSafe at Home (この命令は今のところ3/13- 4/19の期間が設定されている。)が出ているよ」と答えると皆一様に「知らなかった!」というリアクションをもらいます。
海外在留邦人の都市別ランキングではロサンゼルスが第1位(2018年10月での統計)、NYよりも約2万人多く約69,000人の日系社会を抱えるのに、なぜか日本ではNYやワシントン州などの状況ばかりが報道されています。おそらく各報道の特派員の配置の理由などに依るものかと推測しますが、そんな中、弊社の公式Instagramでは、出来るだけ高頻度にローカルな日常を投稿させて頂いているせいか在米のご家族がいるが情報不足で心配を抱えている方にも閲覧頂いており、予想外の反響に日々勇気づけられています。ここで改めてお礼を申し上げたいと思います。
今回は投稿を通して新型コロナの拡大の最中にアメリカのスモールビジネスが変革しつつあると感じたので、最近アップした投稿をいくつか紹介しながら最新のロサンゼルスの人々のマインドチェンジとスモールビジネスの変革を紹介出来ればと思います。
■人との接触をなるべく少なく、なるべく安全に目的の商品を手に入れる。
下記の投稿は、最近体験したスモールビジネスでのショッピングについてですが、ここで注目したいのは、新型コロナウイルスの前までは大手のチェーンを中心に浸透してきたモバイルオーダー&ピックアップが新型コロナの蔓延により、スモールビジネスにも広がってきているという事です。
現在の状況下で事業主の悩みは「感染の脅威において、店を閉めるかどうか?」逆に購入者からすると、「いかに感染のリスクを減らしてお気に入りの店から商品を手に入れるか?」というところでした。この投稿にあるお店のように多くのスモールビジネスは数日店を閉めて店の生産と販売に大きくメスを入れています。従業員の感染リスクを下げる為に商品を絞って生産ペースを落とし、且つ店舗でのお金のやり取りを極限まで抑えるために(人とのコンタクトが減るので感染リスク低下)事前オンラインオーダーのシステムを導入するという思い切った改革に踏み切っています。
スモールビジネスにもこのような事前オンラインオーダーの導入と管理が安価で少ない工数で構築できる時期が来たというインフラの成熟という背景も大きく寄与していると思いますが新型コロナウイルスが改革へ大きく背中を押したことは間違いないと思います。
これに対して顧客の反応は良く、デリバリーサービスをやっておらず、家から出ないと(自分でピックアップしないと)入手できない店もあるのですが、おおむね良い反応であるように見受けられます。このような店側の工夫を顧客も評価し、ある程度安全にショッピングが出来ると判断できるのだと思います。
このような変容を見ていると、コロナ前と後ではおそらくスモールビジネスの在り方も様変わりしているだろうと予測できるのです。
■安全な食料を産直で手に入れる「価値」再浮上
下記の投稿は、アメリカで新鮮な野菜や果物を手に入れるならばFarmer’s Marketであり、この新型コロナの状況下で安全に購入するためにマーケットの主催者がどのような手段を取って運営しているか?という事をピックアップさせて頂いたものです。
このFarmer’s Market、毎日行われているものではなく、週に決まった曜日に市が決めた場所で開催されているものです。新型コロナウイルスの前は安全な産地直送で生産者の顔が見えるものを少々高くても買いたいという人はこういったところを通して購入していました。
しかし新型コロナウイルスの拡大により、このようなFarmer’s Marketへのアクセスも鈍化し、生産者も消費者も新鮮な野菜や果物から距離が遠くなってしまっています。
前出のSmall Business Ownerに一時見られたのですが、自分たちの商売(野菜や果物などの小売り業ではない)の仕入れの際に顧客に向けて野菜や果物、卵などの生産者の直販ボックスを自分たちの商品と一緒に予約販売したりして生産者に援助をしていましたが、あくまでも一時的な対応でした。(例えば、街のパン屋さんが、自分たちのパンを売ると同時に通常は行わない、野菜や卵などを市場や生産者から小売りとして仕入れて顧客に販売する)現在このような応援者の販売ヘルプに頼る生産者は大分見受けられなくなり、自身のサイトでの販売に移行してきていると感じています。
そんな折(日本にも見られると思いますが)野菜や果物、さらには卵や乳製品、肉の加工品の生産者が産直で提供するサブスクリプションの人気は再燃し、今は一時的に受け入れを止めている生産者も見られるほどです。
こういった動きも生産者が事前オンラインオーダーの導入と管理が安価で少ない工数で構築できる時期が来たという事と、こういった形での産直購入の消費者への認知が新型コロナの影響で消費者の中で拡大したという事だと思います。
また、消費者も感染をしないための行動を選びたいという意識が働いている事は言うまでもありません。一方で、新型コロナウイルスのせいで、収入源を絶たれている人もいるのでこのような新鮮な食品は高級品であるという意識を持つ人もいます。Farmer’s Marketで売られるようなオーガニック食材は高級品で一部の人向けであるかもしれませんが、新鮮な食品を安全に摂取したいという気持ちはどのような人も根底にはあることです。
コロナウイルスの前と後、日々状況が変化していきます。今回取り上げた人々の意識やスモールビジネスの変化は最終的にはどこへたどり着くのか?これからもウオッチしていきたいと思います。
April 2, 2020 by Etsuko Morihara